【理事コラム】食品の力を、支援の現場へつなぐ

私たちは、食品を集めて届ける活動をしています。
けれど、それは単に「余ったものを配る」ことではありません。

現場では、食品が人の心をほどき、支援の入口をつくっています。
そして同時に、その届け方を間違えれば、自立を遠ざけてしまう可能性もあります。

今回は、支援の現場から見えてきた「食品の力」と私たちが大切にしている役割についてお伝えします。


食品の力を、支援の現場へつなぐ

 

 

 

 

 

 

 

私たちが「食品の力」を知ることになったのは、とある生活困窮者相談窓口を持つ事業所の、統括マネージャーの言葉でした。

その事業所は、山口市に事務局を移して本格的に活動を始めたばかりのフードバンクの、最初の登録団体の一つでした。

食品が生む“信頼の入口”

「相談に来られた方に、『ところで今日食べるものはありますか?』と聞いて、カップ麺や缶詰をお渡しすると、それまで硬かった表情がふわっと緩みます。

私たちの対応はどうしても指導的になりがちなんですが、実際に役立つものをその場で提供することで、ちょっとだけ信頼してもらえるように感じます。」

ただ食品を渡すことは、かえって依存を生まないのか。
そう思っていた私たちにとって、この言葉は、その後の活動の指針となりました。

現場で求められているもの

多くの事業所や施設は、クライエントに渡す食品に使える予算を持っていません。

実際には食品が必要な場面が多くあり、
職場で声をかけて集めたり、訪問の際に自腹で購入して持参したり…という対応が行われていました。

スクールソーシャルワーカーの方からも、次のような事例を伺っています。

・体調が優れなかったお子さんに栄養補助食品を継続的に届けたことで、体調が安定した
・保健室にゼリーを常備し、朝食代わりにすることで教室に向かえるようになった
・誕生日に好きなお菓子を届けることができた

また、ケアマネージャーの方からは、

年金前には冷蔵庫が空っぽ、財布にはわずかな現金しかない――
そんな独居の高齢者の方に食品を持って訪問しているという、ギリギリの生活の現実も伝わってきました。

私たちの役割を見つめ直す

こうした現場の声を受けて、私たちは考えました。

託された食品を、ただ配るのではなく、
支援団体や専門職に託すことが、より効果的ではないか。

これは自然な流れでした。

当初は、緊急支援として個人への直接支援も行っていました。
しかし、現実は「1回で終わらない」ケースがほとんどでした。

既往症、経済状態、家族関係――
その方の状況を正確に把握し、継続的な支援につなげるには、専門的な関わりが必要です。

フードバンクがそれを担うことは難しく、
結果的に自立を妨げてしまう可能性もあると判断しました。

現在は、個人への直接提供は行わず、
相談機関の紹介とあわせて、専門職へつなぐ形をとっています。

批判の中で選んだ役割

この判断について、批判を受けることもあります。

それでも私たちは、

食品を届ける役割は現場の支援者へ、
私たちは食品の収集と管理に集中する。

この役割分担こそが、
いただいた食品を最も効果的に活かす方法だと考えています。

直接届ける「こども宅食便」

唯一、直接お渡ししているのが「こども宅食便」です。

ひとり親世帯や多子世帯を対象に、学校の長期休みにあわせて食品をお届けしています。

ご家庭からは、

「食品の支援もうれしいが、こうして応援してくれる方がいることが何よりの励みになる」

という声が届きます。

その言葉を受けて、
直筆のメッセージを添えたり、クリスマスにはお菓子を目立つように詰めたりと、
少しでも温かさが伝わるよう工夫を重ねています。

コロナ禍で見えた役割

コロナ禍では、2020年2月の全国一斉休校のニュースが流れたその日の夜に、宅食便の実施を決定しました。

その迅速な対応は全国ニュースでも取り上げられ、
全国から多くのご寄付をいただくきっかけにもなりました。

現在、フードバンクの登録団体・個人は500に迫っています。

それだけ多くの現場で、食品は支援に活かされ、
生活をつなぎ、自立を支えています。

「食品の力」を信じて

生きている限り、食べない人はいません。

せっかく作られた食品が、最後まで活かされるように。

そして、必要な人のもとに届くように。

これからも私たちは、「食品の力」を信じて活動を続けていきます。


こうした活動を支えているのが、皆さまからのご支援です。

現在募集中の赤い羽根テーマ募金は、
3月13日時点で180,674円となりました。

フードバンク山口への通常のご寄付は寄付金控除の対象外ですが、
赤い羽根テーマ募金は損金算入の対象となります。

年度内の社会貢献として、ぜひご検討いただけましたら幸いです。

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すでにご寄付いただいた皆様にはあらためまして御礼申し上げます。

誠にありがとうございます。


無事コラムの2回目を発出できました(ホッ^^

次回は4月中旬を予定しています。お楽しみに。