フードバンクフェスタレポート④パネルディスカッション

フードバンクフェスタレポート第4回目はパネルディスカッションです。

今回のパネルディスカッション、テーマは「フードバンク山口の今とこれから」。

ファシリテーター:杉山美羽(NPO法人フードバンク山口理事)

パネラー:松永俊夫 様(山口市健康福祉部地域福祉課、食品回収ボランティア) 

         福祉・ボランティア…困窮者の相談役、食品の回収、食品の活用

     岡崎麻衣 様(異世代交流子育てサロン as is子ども食堂…食品の活用

     国広直之 様(国広倉庫有限会社)物流…食品の運搬

     田中靖士 様(株式会社丸久)企業…食品の提供

     岩城淳 様(社会福祉法人 防府海北園 副理事長)福祉…児童養護施設運営

上記の皆さんに登壇していただいた理由としては、食品を回収して、支援者に届くまでの過程の中で、メリットや課題を明らかにしたかったため。

それぞれの立ち位置でお話いただきました。

【大容量の食品の受け入れ問題】

現在、フードバンクでは大容量の食品の受け入れついて様々な問題があります。

それぞれの分解して問題を紐解くと↓↓↓

子ども食堂・・・大人数のお弁当を作る材料の保管場所が自分の家しかない。

ボランティア・・・多種多様な食品を回収して、チェックとラベリング、PC入力にかかる時間が数時間。

企業・・・賞味期限の1/3ルール(1/2ルール)により大容量の仕入れができない。(食品ロスの原因)

物流・・・通常配送との抱き合わせで持っていきたいが大型車両の受け入れができない。ステーションに常駐者がいないため、配送の事前調整が必要。

福祉・・・児童養護施設の運営にあたり、消費できる器はある。ただ、食だけの問題だけでは解決しない問題もあるため、単純ではない。

フードバンク・・・トレーサビリティの担保が必要。フードバンクは食品を扱う事業者や企業と同じ扱い。大容量は受け入れできる場合もあるが、ポストから回収したものについては、世界中の食品が集まってくるため、チェック等に時間がかかる。

問題は、それぞれ山積みの様子。。。

他県での事例としては、物流会社や倉庫会社と連携し、大容量の食品が入るときに協力してもらうという方法もあるそうです。ただし、そこにもトレーサビリティの観点から、受取、使用のルール化は必要であるとのことでした。

※食品のトレーサビリティとは・・・「食品の移動を把握できること」

各事業者が食品を取扱った際の記録を作成し保存しておくことで、 食中毒など健康に影響を与える事故等が発生した際に、問題のある食品がどこから来たのかを調べ(遡及)、 どこに行ったかを調べ(追跡)ることができます。

Q:食品が多ければ、食堂の開催数をふやせれるのか?

A1:子ども食堂・・・前提としてどこもが全部出来るわけではない。開催する人がさまざまなこと(仕事をしているが休みの日に手伝う、定年を迎えた人など)から、作って提供する、プラス、パントリーを行う、ならできるかもしれない。

A2:福祉・・・食品の管理の面が問題。クーラーボックス持ってきてね!でもその先まではわからない。しかし、食品を持って行って家庭に入っていく、そのことが、子ども食堂と居場所をつなぎ、食品の持つ可能性を広げることに繋がる。

Q:企業からくる食品の管理について企業側から「あとは任せます」となった場合について企業側としてはどうなのか?

A:企業・・・販売する食品についてトレーサビリティは大切。

食中毒がでたらどうするか?→責任分岐点を設定し、合意書をかわすことで明確にしている。子ども食堂が保険に加入することも必要ではないか。

子ども食堂が一定の衛星を保っていることで、任せますと言える。信頼があっての言葉。

子ども食堂としても食品衛生に責任をもってやっていくことが大切ですし、さらに、まとめていくネットワークの役割も大きいということに気づかされました。

【倉庫問題】

やはりポイントになるのは、倉庫。。。

現在、フードバンクは、国広倉庫さまの倉庫をお借りし、そこから各拠点にむけて配送のご協力をお願いしております。その中でご意見をいただくと・・・

Q:物流・・・ポストからの回収を、納品に行く業者が回収して、一括管理はどうか?だけど、各拠点に持ち込む手間、バーコード管理、ボランティアの不足があるのか、どういったところで悩んでいるのか聞きたい。

A1:フードバンク・・・ポストの設置数が現在107個。ポストを置きたいという企業はある。

しかし回収まではしてもらえない。ボランティアさんの確保ができないとポストを置けないのが現状。

A2:ボランティア・・・徳山工専のみなさんの発表から、作業時間が半分になるかも、と期待大。食品を運ぶだけでは、解決できない問題がある。子どもが作れるものがいいけど、災害時じゃないからインスタントを毎日食べ続けるわけにはいかない、提供された食品を使って、もっと豊かになるような形はないか?→徳山工専のありがとうWEBサイトを参考に、食品の提供を受けた側がこんな食事を作りました、という結果を投稿、共有出来たら。あるものの中で、少しでも健康的になれる食事に繋げられるか課題。当事者が、その生活の中で、食事を作る対応力が深められたら、わたしたちの取り組みが活きてくるのではないか。

【物流関係の企業、連携先を増やすには?】

物流・・・トラック協会の繋がりで、情報を共有できる。常温、チルド、冷凍、それぞれ得意なf会社もある。協会を活用して展開していくのはどうか。

企業・・・子ども食堂から声が上がったら、すべて受け入れるくらいの体制でいる。ただ、果物青果はその日によって違ってはくるので量がわからないが、ぜひ利用してほしい。物流に関して、時間、ルートの関係で、なかなか回収して届けるのはむずかしい。配送便の帰りは、リサイクル品を回収して帰っている。そのルートに乗っかれるならいけるかも。ただ、現在ガソリン代が高騰しているのがネック。

【会場からの質問】

Q:食品保管の問題について解決方法はないか?空き家の活用はどうか?

A:地域のコミュニティから話ができれば、市の場所の活用、ハードルが下がってきやすい。空き家の活用もコミュニティを通じて繋がれば地域のミニ倉庫になるかも。

Q:(要望)ボランティア交流会のような会があるとよい(拠点ごと)理由:高齢化、大学生の卒業などのため。

ボランティアの受け入れたい、やりたいをつなぐように、フードバンクがボランティア募集にもっと力をいれないといけない。

A:人的キャパが限界にきている。

市町の社協と情報交換しながら取り組む。


「フードバンク山口の今とこれから」

見えたのは、単独ではもう無理だということ。チームになって課題解決していくこと。

多様な背景を持った人や資源がつながって、フードバンクが運営されている。

ボランティア、地域コミュニティ、倉庫業、物流業、児童養護施設、食品スーパー、それぞれどう繋げていくか、

そしてどう強化していくか、フードバンクフェスタを終えて、この機会にまた考えていかなければいけないですね。

まずは、今後の展開といたしまして、ボランティア説明会、物流ルートの開拓に向けて動いていきたいと思っております。

その際は、また皆様のお力をお借りしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

パネラーのみなさん、この度はご登壇ありがとうございました。